ウィーン少年合唱団記者懇親会レポート 大阪 2007年5月15日 ホテル阪神5月15日、大阪のホテルにて記者懇親会を行いました。4月23日に来日して各地全国公演を行っております。日本での生活も慣れたところで今回は小規模でしたが、アットホームな雰囲気で行われました。
最初に、シェベスタ先生のご挨拶を頂きました。
指揮者 マルティン・シェベスタ先生より挨拶皆様、おはようございます。今回も日本各地で公演を行うことができることをうれしく思います。
そして、本日は大阪、日本全国を知るチャンスを得ることができて光栄です。
ご存知のとおり、ウィーン少年合唱団というのは非常に伝統のある合唱団と自負をしております。
設立は今から500年以上前になり、この長い歴史中で、この数十年いろいろ変化がありました。
20世紀は1930年代頃から、母国を離れて公演旅行を行い始めました。母国から、世界に向けてこの歌声を発信し、世界の皆様に楽しんでもらっております。
そして、日本は中でも特に重点を置いている国であります。
なぜ、日本が重要な国かと申しますと素晴らしいファンが数多くいらっしゃるということです。
ウィーン少年合唱団を愛情を持って受け入れてくださっています。そしてコンサートにおいても魅了してくださるこのようなお客様の反応を頂くのはとても感動いたします。そういう意味でも日本は特別な思い入れのある国言っても過言ではありません。
私達は、オーストリアの音楽だけでなくその文化もお伝えしようと努力をしてまいりました。とくに中央ヨーロッパの文化も同じようなかたちで伝えたいと考えてきたと同時に、この日本という国には日本独特の長い伝統と歴史が重んじられているということを存じ上げています。そして、私共の伝統をお伝えすると同時に日本の文化を来日することによって私達の母国に持ち帰りたいと考えています。
私は個人的にこのウィーン少年合唱団公演旅行というのはある意味で文化交流の場というように解釈をしています。今日、世界がメディアなどマスコミの情報交換によって世界が狭くなる一方で、紛争等により国際間の文化の溝が生まれてきていることは残念ながら事実であります。しかし、その溝を埋めるのはお互いの文化や音楽といった交流の場ではないでしょうか?交流を通じてお互いを理解することによってその溝を埋められるのではないかと考えています。
私達は、もちろんコンサートは演奏旅行の中で一番大事なことで、子供達も集中力、準備を要しますが、
それと同時にフリータイムというのも楽しみのひとつであります。実は昨日、大阪ということでユニバーサルスタジオに行きました。それはそれは、楽しい思いをしました。
またウィーン少年合唱団の活動についてお話したいと思います。
合唱団は4つのコーラスグループがございまして、今回来日しているのはそのうちの一つ「ブルッックナー組」です。オーストリアの有名な作曲家アントン・ブルックナーにちなんでついたグループです。この4つのグループがローテーションを組んで絶えず、1、2のコーラスグループが演奏旅行に行くという状況です。
1918年のオーストリア帝国の崩壊とともにウィーン少年合唱団は民間の手にゆだねられました。民間というのは元合唱団メンバーが設立メンバーとなって作りました。それ以前は、オーストリア皇帝の所属のコーラスグループというかたちをとっていました。
今日では、4つのコーラスグループからなる合唱団と全寮制学校、ギムナジウム(Gymnasium、ヨーロッパの中等教育機関)の最初の4年間(中学校)と前段階成り立っています。
<質疑応答>
Qシェベスタ先生への質問 公演日・移動日以外はどのような過ごし方をしていますか?フリータイムの過ごし方は、その地域によって変わってきます。その町を知るのは観光も大事だと思っておりますので、出来る限り名所を見学させたいと思っております。東京では浅草寺、大阪名所はまだですが、もう一度戻ってきますので、その時に観光名所に伺います。その他、育ち盛りの子供たちなので運動させたいと思っております。場所があればサッカーや走り回ったりとある程度は運動による発散も考えております。そしてもうひとつは昨日、行ったユニバーサルスタジオなどの素晴らしいテーマパークなど、なるべくあらゆる可能性を提供するよう心がけています。
Q少年たちへ質問 日本に来て驚いたこと、来日する前のイメージは?驚いたこと*庭園が素晴らしい!バスの車中から東京に向かう途中などで見ました。
*高層ビルを夜見た時の夜景、東京タワーなどもライトアップが素晴らしく美しさに感動しました。
日本のイメージ*高層ビルばかり 狭い道などはないイメージ
*エレクトロニクスにつきるイメージ
*日本にはお寺がいっぱいあるのではないか
*すごくモダン、現代的なイメージ
Qシェベスタ先生へ質問 日本の曲がプログラムにありますが、その手ごたえ、大阪公演にむけての意気込み教えてください。日本の曲を歌うというのはオリジナルの言語で歌うということですが、大変好評でポジティブな反応を頂いております。とくに東京公演で「ふるさと」を歌った時は、感動されて涙を流されていた方もいらっしゃったと聞きそういった反応を聞くことは最高の賛辞となります。とても励みとなります。
日本の曲を歌うのは、オーストリア人ですので、日本の合唱団が歌うのと同じレベルを達成できませんし、発音もかなわないと思いますが、それに近いものをもたらそうと努力しており、そしてある意味、日本のお客様への感謝でもあります。
大阪の公演に対しての意気込みですが、東京と大阪のではお客さんの反応が違うといわれておりますが、9年前、私が訪れた時はそれほど違いが分かりませんでした。また、今度大阪で公演できることは、大変興味深く好奇心を持っております。大阪でも他の地域と同様に日本の曲ではご好評頂けると思っています。
Q合唱団へ質問 日本の曲で耳にした曲で気にいったCD、曲などありますか?今回プログラムに入っているオリジナルの「涙そうそう」を聞きました。
それは私達が歌っているものとすごく違うと思いました。
オリジナル曲はすごく素晴らしいと感じました。(いっぱい子供達から手が上がりましたが、みんな同じ答えでした。)
シェベスタ先生→歌舞伎もまったく違うエキゾチックで面白かった。
(歌舞伎座で「め組の喧嘩」を鑑賞しました。
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2007/05/post_12.html)
Qザ・シンフォニーホールでは4つすべてのコアで公演を行ってきました。ウィーン少年合唱団に対するお客様の期待度は、他の合唱団と全く違う高いもので、それを伝えていく意義を感じています。
シェベスタ先生へ質問ですが、国際化についての、いつからのタイミングから行ってきたかなど、もう少し詳しく教えてください。タイミングは正確には記憶にありませんが、ここ数年で国際的な門を開いてきました。 初めはオーストリア在住の外国人家庭からの希望、あるいはオーストリア人とのハーフの方が入団対象でした。そしてそこから発展致しまして、そのうちに諸外国からの入団を受け入れることになりました。
ここ数年間の動きとしては、日本のカイだけでなくアメリカ、ドイツ、スイス、イタリアなど外国国籍の団員がおりますが、大事なのは私たちの音楽の伝統、解釈の仕方を正確に伝えてそれを人前で歌うということです。音楽の解釈の妥協はありません。
現在、オーケストラなどでも国籍は関係なく受け入れているのと同じように伝統が継承されることを重んじられているということで国境はありません。
また、この合唱団だけに限ると他にも日本との結びつきのある唯一の存在ではなくではなく、お母さんが日本人の子供、7年間幼少の頃、暮らしたという子どももおり、日本とは強い結びつきがあります。
Qシェベスタ先生への質問 広島について“広島”は平和を考える上でシンボルであり、大変に重要な都市であると認識しております。
9年前に日本公演で原爆記念館を訪れました。今回もぜひ訪れたいと思っています。
その後、オーストリア民謡が1曲披露されました。
オーストリア特有の方言で作られている曲(アルプス地方特有のヨーデルも聴きどころ!)