2010年05月07日

連載第4回-(3) メンバーにインタビュー[ウィーン少年合唱団]

メンバーにインタビュー最終回です。最終回はシュテファン。
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シュテファン君(1997年)は生粋のウィーンッ子で、ギムナジウム2年生(日本の6年生)です。
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Q:両親の家が近くても寄宿舎で生活しているんだね。
シュテファン:ここから30分ぐらいだけど。

Q:ウィーン少年合唱団に入ったのはいつ?
シュテファン:小学校4年になったときに転校して、すぐにここの寄宿舎に入りました。

Q:転校の理由は?
シュテファン:ウィーン少年合唱団に入ることは自分で決めました。歌うことが好きだからです。前にいたのは一般の小学校だけど、みんな歌が下手で、いっしょに歌っていても楽しくないので、もっと良く歌えるところで勉強したかったのです。

Q:実際にウィーン少年合唱団に入って、君のイメージ通りだった?
シュテファン:合唱団に入る前に、だいたいのことは聞いていたので、入団後もそれほど違いはないけど、思っていたよりきびしい(笑)。
舞台で僕たちが歌って、それでお客様がよろこんでくれる、そういう関係が気に入っているから、少年合唱団に在籍していてうれしいです。

Q:もう2年間合唱団で歌っているから、いろんな所へ行ったんだよね。
シュテファン:2008年にアメリカに2ヶ月間、それと地中海クルーズに1週間とか。

Q:将来、何になりたい?
シュテファン:パイロットになるか、歌手になるか、どっちかですね。


三人の元気な少年たちと話をしたら三人三様の答えが返ってきました。驚いたことは三人そろって、自分の意思でウィーン少年合唱団に入ったことです。だから毎日の勉強や生活も意欲的で頑張っている様子がうかがえます。そのような日々の積み重ねの成果として、きっと日本でも素晴らしい合唱を聞かせてくれるに違いありません。



2010年04月30日

連載第4回-(2) メンバーにインタビュー[ウィーン少年合唱団]

ケイシに続き、オスカーのインタビューです。
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オスカー君(1998年生まれ)はドイツのフランクフルト生まれの11才、ギムナジウム2年生(日本の6年生)です。

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Q:ウィーン少年合唱団に入ったのはいつ?
オスカー:2009年9月からです。

Q:ドイツからウィーンに来た理由は?
オスカー:フランクフルトで児童オペラの合唱団に入っていて、音楽が好きだったからネットでウィーン少年合唱団のサイトを見ていました。寄宿舎があることがわかったので、母に相談したらオーディションの申し込みをしてくれました。ウィーン少年合唱団では教育のレベルが高いので、がんばっています。

Q:お家では、みんな楽器とか弾くの?
オスカー:兄が二人、妹が一人いてピアノやフルートを弾きます。

Q:これまでツアーに出たことは?
オスカー:長期のツアーは今度の日本がはじめてだけど、その前にイタリアとハンガリーへ短いツアーで行っています。合唱団のメンバーとしてはじめての旅行で、楽しいことが多かったから、日本ツアーもとても楽しみにしています。

Q:寄宿舎での毎日の生活は?
オスカー:ルームメートが3人で、それぞれ意見が異なることがあったりするけれど、ディスカッションをして、いまは解決しています。

Q:将来の希望は?
オスカー:歌える俳優とか演出家も。やはり舞台の仕事をしたいなァ、と考えています。


次回はシュテファンにインタビューです。

2010年04月26日

連載第4回 メンバーにインタビュー[ウィーン少年合唱団]

ウィーン在住で音楽ジャーナリストの山崎睦さんがケイシ、オスカー、シュテファンにインタビューを行いました。

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 連載最終回にあたる今回は、来日を直前に控えたハイドン組の3人の少年たちとのインタビューをお届けします。
まず、このグループで唯一の日本人であるケイシ君(1998年生まれ)です。
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Q:ウィーン少年合唱団に入ったきっかけは? 誰かに勧められたの?
ケイシ:自分で決めました。幼稚園に通っているときにウィーン少年合唱団を聞いて入りたいと思ったのです。小学校1年生のときにコンサートに行って、ますます好きになり、自分でもよく歌っていました。それで3年前にオーディションを受けて合格しました。

Q:オーディションはウィーンで受けたの?
ケイシ:
いえ、東京です。ちょうど合唱団が来ているときに入団試験をしてもらったのです。

Q:音楽の勉強はその前からしていたんだよね。
ケイシ:はい、声楽とピアノを習っていました。

Q:君がウィーン少年合唱団に入りたいと言ったとき、両親の反応は?
ケイシ:
最初、『なぜ?』って聞かれましたが、ボクの決心を聞き入れてくれました。

Q:いつからここに在籍していますか?
ケイシ:小学校4年生のときに東京からウィーンに来て寄宿舎に入ったので、もう3年目になります。合唱団のメンバーになってから2年です。ウィーン少年合唱団のメンバーとして活動をするのは5年生(ギムナジウム1年生)からだけど、その1年前から寄宿舎に入って団員になるための共同生活がはじまるので、それに合わせて入学しました。

Q:それまでの東京での生活と、ウィーンで寄宿舎生活は違うよね?
ケイシ:
やはり最初は言葉や、なれない食べ物があって大変だったけど、みんな親切だし、日本人の子供が他にもいたので助けてもらいました。今はここでの生活が気に入っています。

Q:2年後にウィーン少年合唱団を出た後はどうするの?
ケイシ:まだよくわかりません。まず日本で日本語や日本の勉強をしなければならないと考えています。

Q:それが大切だよね。これまでツアーではどこに行ったの?
ケイシ:
アメリカ、地中海クルーズ、ハンガリー、イタリア、ドゥバイ。日本に行く前にスペインにも行きます。

Q:日本で聞きに来る人たちは君のことをたいへん期待しているので、がんばってください。
ケイシ:
はい、いっしょけんめいがんばります。


次回はオスカーのインタビューです。

2010年03月29日

連載第3回 カペルマイスター、ケレム・ゼツェンインタビュー

2010年ハイドン組みの来日に向けて、ウィーン在住で音楽ジャーナリストの山崎睦さんがカペルマイスターのケレム・ゼツェンにインタビューを行いました。

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ケレム・ゼツェン先生はウィーン少年合唱団の4つのグループのうち、今回来日するハイドン・コーア(合唱グループ)のカペルマイスター(音楽指導者)として、直接日々の練習を担当されています。

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Q:前回、2006年の日本ツアーはたいへん好評でしたね。
ゼツェン先生:私は7年間にわたってハイドン・コーアの指導者を務め、アメリカに3回、中国に2回、それにドイツなどヨーロッパ諸国にも行っていますが、2006年の日本ツアーの大成功は少年たちにとっても私自身にとっても、とくに忘れられない思い出です。少年たちは交代してしまいましたが、今度も前回に劣らないようがんばりたいと決意を新たにしているところです。

Q:1978年にイスタンブールでお生まれになって、現在ウィーン少年合唱団の指導者というのは、ユニークはキャリアですね。
ゼツェン先生:
2才の時にオペラ歌手の両親に連れられてウィーンに移住して以来、ずっと私はこの都市で育ち、6才からピアノをはじめました。ウィーン国立音楽演劇大学でフルート、ピアノ、指揮、声楽を学んだ後、ウィーン国立歌劇場メンバーとしてザルツブルク音楽祭に出演したこともあり、アマチャ合唱団の指揮をするなど経験を経て2003年から現在のポストです。

Q:さまざまな音楽分野の勉強をされたことが、現在ウィーン少年合唱団で役に立っていると考えられますか。
ゼツェン先生:
一口では言えませんが、現在の私のバックボーンになっていることは確実であり、指導に当たるときの理論的裏付けにも通じます。

Q:ハイドン・コーアの特徴は?
ゼツェン先生:彼らは、まず歌うことが大好きで、自由時間を多少犠牲にしても練習に励むほど意欲的です。少年同士はお互いに友好的、協調的で、そのことが彼らの歌唱にもはっきり反映していますね。
またハイドン・コーアはたいへん国際的です。日本、それに国籍はともかくとしてインド、ハンガリー、スロヴァキア、チェコ、ドイツ、イギリス、フランスの血筋の子供たちが集まっており、私自身トルコ出身ですからね。世界各国の歌をプログラムに取り上げるときに、テキストの発音、解釈などでこのことは非常に役に立っていますし、それ以上に国際感覚を身に付けるという点で、彼らの将来のためにも貴重な経験になると考えています。

Q:ケイシ君がハイドン・コーアで唯一の日本人ですね。
ゼツェン先生:
ケイシはソリスト(独唱者)としてはまだ年少で経験も浅いのですが、日本ツアーまでにはソロ(独唱)ができるようになると思います。行儀がいいし、意欲的でもあって、なかなか良い子ですよ。

Q:日本で日本の歌をプログラムにのせることに関しては?
ゼツェン先生:
歌詞の発音や内容解釈の点で日本のお客様に違和感を与えないよう注意していますが、例えば前回の「世界に一つだけの花」はたいそうよろこんでいただけたようですし、子供たちも好んで歌っていました。コンサートのためのプログラム選曲では、まず子供たちが好んで歌うこと、お客様によろこんでいただけること、そして私自身も気に入っていること、この3つのポイントをクリアーすることが重要だと考えています。

2010年03月23日

連載第2回 ヴィルト芸術監督インタビュー(その2)

山崎睦さんが芸術監督ヴィルト氏へインタビューをするその2
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Q:ヴィルトさんはご自身ウィーン少年合唱団の出身であり、1998年から副芸術監督、2001年から芸術監督を務めておられて、つまウィーン少年合唱団の芸術面での最高責任者ということになります。そこでウィーン少年合唱団の現在、さらに将来の展望についてお話し下さい。
ヴィルト芸術監督:ウィーン少年合唱団は500年以上の伝統を持つ少年合唱団であり、レパートリー的には中央ヨーロッパのグレゴリア聖歌からルネサンス、バロック、ハイドンやモーツァルトの古典派時代、ロマン主義音楽、さらに現代音楽までを網羅し、伝統を踏まえた歌唱法による音楽実践を継承しています。宗教音楽に限定せず、現在はさらに世界各地の様々なジャンルの音楽も取り入れるようになりましたし、児童オペラ、映像領域など、時代の要請に即したプロジェクトに積極的に対応しています。
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<2009年記者会見より ヴィルト氏>

Q:現在、ウィーン少年合唱団では世界中から少年たちが集まるようになりましたね。
ヴィルト芸術監督:このような傾向はウィーン少年合唱団にとって非常に重要だと考えています。ウィーン出身者、それにオーストリアの地方から来る子供たちが90パーセントで、日本やアメリカ、南米など外国からの少年が10パーセント程度の割合ですが、外国人が仲間入りすることでウィーン少年合唱団の国際化を図りたいと考えています。

Q:これまでウィーン少年合唱団の教育システムでは下級ギムナジム(日本の学制でいう5〜8年生で在学生がウィーン少年合唱団メンバー)止まりだったわけですが、次の新学期が始まる秋から上級ギムナジム(9〜12年生)が新設されると聞きますが。
ヴィルト芸術監督:
これまで少年たちは8年生を終了するとウィーン少年合唱団から出て、どこか他の上級ギムナジムに入学しなければならなかったのですが、今度からは12年生を終了してマトゥーラ(大学入学資格)受験まで一貫して私たちのもとで勉強が続けられることになり、少年当人にとっても両親にとっても安心できる制度になります。新しい学校は一般公募により男女共学です。

Q:変声期の問題は個人差が大きいですが、8年生終了時点でまだ変声期に達しない少年の場合、さらにウィーン少年合唱団メンバーとして歌うことは可能ですか。
ヴィルト芸術監督:
その可能性も考慮中です。8年生を終了してさらに合唱を続けたい少年は、すでに4年間にわたる経験があり、音楽的にも優秀ですから、彼等を参加させることでウィーン少年合唱団のクオリティを安定させるメリットがあります。
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Q:それと新しいホール建設が話題になっていますね。
ヴィルト芸術監督:
長年の懸案であったホール建設がアウガルテン宮殿の隣接地でスタートし、2年後には350席の私たちのためのホールが落成の見込みです。

 若く意欲的なヴィルト芸術監督のもとで、芸術的にも対外的にもダイナミックな発展を続けるウィーン少年合唱団の現状がおわかりいただけたでしょうか。

2010年03月08日

連載第1回 ヴィルト芸術監督インタビュー(その1)

2010年ハイドン組みの来日に向けて、ウィーン在住で音楽ジャーナリストの山崎睦さんがインタビューを行いました。
連載しますので、お楽しみに!
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ウィーン市街の東方、ドナウ河とドナウ運河に挟まれた広大な一帯(現在のウィーン市第2区の北側)は緑ゆたかな牧場(アウ)であったところからアウガルテンと呼ばれて、ハプスブルク帝政時代は宮廷の狩猟地でした。モーツァルトが日曜日のマチネ・コンサートを開いたことでも有名ですが、現在は世界的に知られる陶器、“アウガルテン”の工房、公園、そしてウィーン少年合唱団の本拠地であるアウガルテン宮殿、及び付属バロック庭園となっています。
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今回来日するのは合唱団の4つのグループのうち、前回も大評判だった“ハイドン組”で、早速彼らの練習を見学させていただきました。曲目は3週間後に迫った3月16日に開催されるコンサートで歌うモーツァルト「オッフェリトリウム・テンポーレ『ミゼリコルディ・ドミニ』(主のお憐れみを)ニ短調K222」です。ウィーン少年合唱団が日曜・祭日に歌っている宮廷礼拝堂のミサではなく、楽友協会大ホールで開かれる古楽団体、ウィーン・アカデミーの純然たるコンサートであるためヴィルト芸術監督がみずから指導にあたり、滅多に演奏されない難しい作品ということもあって少年たちもひときわ熱心に取り組んでいます。だいたい出来上がっているようですが、さらに細部を練っていくのがこれからの課題なのです。

Q:練習を拝見してたいへん興味深かったのですが、少年たちに音楽だけではなく、同時に和声、楽式などの理論的側面、テキスト解釈、歴史的背景、さらに姿勢や行儀などに至るまで指導されるのですね。
ヴィルト芸術監督:彼らは音楽能力的には高いですが、一番下は10歳の小年ですから、まだまだ教えなければならないことがたくさんあります。自分が歌っている作品を理論的に分析し把握すること、ラテン語のテキストやその背景を理解すること、歌うための正しい姿勢、そして公衆の前に立つのだから行儀、マナーを徹底するようにしています。
Q:もっと感心したのは、少年を交代で前に出して高い椅子に座らせ、指揮者のように全体を統率させることですね。
ヴィルト芸術監督:
漫然と合唱の中で歌っているのではなく、前に出ることで積極的に音楽を作る自覚を持たせるための試みです。彼らの自発性を高めるための訓練ですね。
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なるほど、このように総合的な素晴らしい指導のもとに音楽能力の高い少年たちが訓練されて、世界に冠たるウィーン少年合唱団の最良の状態が保持されているのだということを痛感します。次回はウィーン少年合唱団の将来の展望などについてお話をうかがいます。
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